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パニック障害の予期不安を克服する


パニック障害を経験した方の中には、薬で大きなパニック発作は収まっても、予期不安に悩んでいる方が多くいます。

予期不安とは、例えば電車でパニック発作を経験した場合、電車に乗る前や駅に向かうだけで不安や動悸が現れることを指します。これは、昔の曲を聞くとその時代の記憶が蘇るように、特定の状況が不安と結びついてしまう現象です。この現象は心理学では「アンカー(錨)」と呼ばれ、特定の状況が不安な感覚と結びついてしまうことを意味します。

パニック障害の方の体には特徴があります。足が冷えて力が入らず、みぞおちや首が硬くなり、体の上半身が緊張している状態です。これは体の芯が冷え、のぼせている状態で、呼吸が浅くなり、エネルギーの流れが悪くなっています。このような体調では、わずかなきっかけでも予期不安が引き起こされやすくなります。

薬で発作を抑えても、この体の状態が改善されない限り、予期不安が続く可能性があります。しかし、体調が良いときは予期不安が起こりにくくなることが多く、それは体ののぼせが緩和されているからです。

当治療室では、まず鍼灸治療で体の冷えを取り、のぼせを改善します。これにより、胸や首の詰まりが取れてエネルギーの流れが良くなり、体に爽快感が戻ります。軽度のパニック障害であれば、体調が整うだけで症状が改善することもあります。

まだ予期不安が残る場合は、体が整った状態で、予期不安を引き起こす状況に徐々に慣れていく「暴露法」を行います。例えば電車が不安の原因であれば、電車に乗ります。このとき、身体症状は軽く、自然に消えていくことが多いです。暴露法を繰り返すことで、症状は徐々に和らぎ、最終的にはなくなっていきます。

重要なのは、体が整った状態で暴露法を行うことです。体がのぼせたままでは、症状が強く現れ、逆にトラウマを残す可能性があります。

私たちの体には自己治癒力があります。まずはその力を引き出すことが大切です。薬やカウンセリングでも予期不安が残る方は、ぜひ鍼灸治療で体を整えることを試してみてください。