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カゼは天然のデトックス


秋から冬になると気温が下がり乾燥が強くなって、
カゼを引く方が多くなります。

カゼを引くと発熱したり、喉が痛くなったり、
咳が出たりと不快なものです。

一般的には「カゼは万病の元」などといい、
悪いイメージが強いものです。

しかし実はカゼには別の一面があります。
それは一種のデトックス(毒だし)効果です。

ところで『風邪の効用』という本をご存知でしょうか。

著者は昭和初期に現れた天才治療家で、
「整体」という手技療法を生んだ野口晴哉氏です。

数多くの伝説的な逸話が残されている野口氏ですが、
彼は『風邪の効用』の中で次のように述べています。

「癌になる人とか脳溢血になる人とかいうのを丁寧に見ると皆、共通して風邪も引かないという人が多い。長生きしている人を見ると、絶えず風邪を引いたり、寒くなると急に鼻水が出るというような、いわゆる病み抜いたという人である。」(『風邪の効用』P.21)

野口氏が指摘するように、私が診てきた癌患者さんの中でも、
癌を発症する前はカゼも引かない体だったとおっしゃる方は少なくありません。

そのような方は体力に自信があって、
無理に無理を重ねて仕事や家庭の問題に取り組んでしまいます。
そして気付いたときには、大病を患っていたということなのです。

「だからいろいろな病気を治す方法よりは、風邪を上手に経過する生活法と云いますか、 それを会得しておけば、癌になるとか、脳溢血になるとか、そういう麻痺した体も正すことが出来る。従ってそういうような病気にならないで済む。」(『風邪の効用』P.26)

無理をした体は内臓が冷えていて、体がとても硬張っています。
血流が悪く、代謝も低くなっています。

そのために体の毒が排泄されずに、
体内に留まった状態なのです。

カゼを引くと、発熱することで毒を燃やし、
汗や鼻水、咳、痰、下痢などで毒を体外に排出します。

すると内臓の冷えが取れ、体の硬張りも緩んでくるのです。
カゼを引く前よりも丈夫でしなやかな体になります。

つまりカゼは天然のデトックスなのです。

ところで難病の方に鍼治療をしますと、その後すぐにカゼを引く方がいます。
高熱が出たり、咳が止まらなくなったりするのです。

しかしそのカゼ症状が治まった後、
病院にかかってもなかなか改善されなかった潰瘍性大腸炎や
リウマチなどの難病の症状が良くなるのです。

そして体が冷えて硬張っていた状態から、温かく緩んだ状態に変わります。
鈍った体から、敏感な体に変化するのです。

「上手に風邪を引くと古い病気がいろいろと治ります。私は昔、喘息を治すのに迷走神経を調整したりいろいろな事をやって骨を折りましたが、近頃は風邪を引くのを待っている。――リウマチなどでも風邪を引きさえすれば治る。」(『風邪の効用』P.105‐106)

一般的にカゼには悪いイメージがありますが、一面デトックス効果があり、
体を丈夫にする効果があるのです。

もしカゼを引いたら天然の体の大掃除と捉え、
なるべく薬で症状を抑えるのは控えましょう。

リラックスしてよく休んで、上手く経過させて下さい。
足湯をしたり生姜湯を飲むなどして体を温めて、
毒素の排泄を促すのもいいでしょう。

カゼを利用して、体を丈夫にするチャンスです。