稲森 英彦 Hidehiko INAMORI
プラナ松戸治療室代表
【略歴】
東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。
1998年に鍼灸師資格を取得。心療内科クリニックに勤務し、東洋診療部門を立ち上げる。
2005年に自律神経系・心療内科系鍼灸院のプラナ松戸治療室を開設。
現在(2025年)臨床歴27年。
自律神経の乱れによる息苦しさ、めまい、喉のつまり感、動悸、吐き気、不眠、頭痛、首肩腰痛、慢性疲労、不妊、目の不調などに。全身のバランスを整えて自律神経の乱れを癒します。
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頭皮の特定の機能局在領域(脳の各機能に対応する部位)やツボに細い鍼を優しく刺激することで、脳機能の活性化、神経伝達の改善、自律神経のバランス調整、精神的な安定を目指す施術です。
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息苦しさ、不眠、動悸、うつ症状、痛み、めまいなど、幅広い症状に鍼灸で改善をもたらした症例集です。自律神経の調整から、体調不良まで、心身の調和を取り戻す症例をご紹介します。
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70代の男性の症例をご紹介します。
この方は今年1月に右脳出血を起こし、左半身に麻痺が残りました。4月までリハビリのため入院し、その後退院されました。
ところが、退院してしばらくした4月中旬頃から、舌の左側に違和感が出始めました。最初は軽い違和感でしたが、次第にピリピリとした感覚へと変わり、やがて舌全体がビリビリするような状態になりました。
脳外科に相談されたところ、「特別な治療は難しい」と言われ、口腔外科を紹介されました。しかし、そこでも対応できる治療はないとのことで、当治療室にご相談に来られました。
脳出血の後には、しびれや痛みなどの神経症状が現れることがあります。
一般的に、発症から約6か月までは神経機能の回復が期待できる時期とされ、この期間に脳の神経回路が再構築されることで症状が軽くなることがあります。
しかし、脳細胞は一度損傷すると完全に元に戻ることは難しいため、時間が経ってからもしびれや違和感などの症状が残ることがあります。
この方の場合、症状が現れたのは発症から数か月経ってからでした。そのため、単なる神経回路の回復過程というよりも、脳の働きのバランスが乱れている状態が考えられました。
このような脳卒中後の症状に対して、当治療室では頭皮鍼(とうひしん)を行っています。
頭皮鍼は、頭皮にある特定の領域を刺激することで、脳の働きを調整する鍼治療です。脳の運動や感覚に関係する部位に対応する場所に鍼を行うことで、神経の働きを整え、症状の改善を促します。
脳卒中後の
などの症状に対して、世界的にも広く行われている治療法の一つです。
また、脳卒中の後は、身体全体のバランスが崩れていることも少なくありません。
そのため当治療室では、頭皮鍼だけでなく、脊椎の状態や内臓の働きも整える全身の鍼灸治療を合わせて行います。
身体全体のバランスを整えることで、自律神経や血流の状態が改善し、結果として症状の軽減につながることがあります。
この方の場合、頭皮鍼を中心に治療を行ったところ、2回の治療で舌のビリビリ感はほとんど気にならないレベルまで改善しました。
脳出血による後遺症は、脳細胞のダメージそのものを完全に元に戻すことは難しい場合もあります。しかし、脳の働きや身体全体のバランスを整えることで、症状が大きく改善することは少なくありません。
脳卒中後の
などでお悩みの方は、頭皮鍼による治療が役立つ可能性があります。
気になる症状がある方は、どうぞお気軽にご相談ください。
長寿とタンパク質、炭水化物の関係については複雑な相互作用が存在します。近年の研究では、タンパク質の摂取が寿命に与える影響が注目されており、一方で「ブルーゾーン」と呼ばれる長寿地域の食事パターンは、タンパク質の摂取量が少なく、炭水化物が豊富であることが特徴です。はたしてタンパク質や炭水化物は寿命にどのような影響を与えるのでしょうか。
近年の研究によると、特に高齢者においては、適切なタンパク質の摂取が健康に長寿をもたらすことが示されています。タンパク質は筋肉の維持、免疫機能の向上、代謝の活性化など、さまざまな面で健康を支えます(1)。例えば、高齢者に必要なタンパク質量は、活動量や筋量の維持に重要であるとされています。
一方、ブルーゾーン地域の研究では逆の結果になっています。「ブルーゾーン」とは100歳人(センテナリアン)が多く暮らす地域のことで、イタリアのサルデーニャ島、日本の沖縄、アメリカのロマリンダ、コスタリカのニコジャ半島、ギリシャのイカリア島の5箇所を指します。
例えば沖縄では、タンパク質よりも炭水化物に重きを置いた食事が健康を支えています。沖縄の人々は、伝統的に高炭水化物(特にサツマイモなど)を摂取し、植物ベースの食事が一般的です。この食生活は、がんや心血管疾患などのリスクを下げる生理的反応を促すことが実証されています。そのため、沖縄の長寿の背景には「高炭水化物食」が重要な役割を果たしています(2)。
ブルーゾーンの人々の食生活で共通していることは、ウシやブタなどの肉は月に数回、特別な日にしか食べないこと、そしてカロリーが少ないことです。ある研究によるとカロリーを30%制限すると、多くの実験動物たちの寿命が伸びたとの報告があります。昔から「腹八分」が健康にいいといわれていますが、科学的にも支持されています。
日本においては、戦後に食料が豊富になったことで長寿化してきた事実があります。戦前よりもタンパク質を豊富に摂取することができた結果、長寿化した可能性が考えられます。この現象はどのように理解すればいいのでしょうか。
戦後にタンパク質の摂取が増加したことは、肉類や魚介類の摂取が増えたことを意味しますが、これは全体的な食生活の改善を伴っていることが多いです。栄養が豊かになることにより、健康状態が改善され、結果として寿命が延びたと考えられます。このため、タンパク質の増加は寿命の伸びに寄与する一因とされているものの、全体的な食生活の質が依然として重要だと考えられます(3)。
つまりタンパク質と炭水化物は一面的な評価でなく、バランスの取れた食事が長寿に重要であることが示唆されます。たんぱく質が特定の条件では寿命を延ばす一方、他の文化や地域での食事法、特に炭水化物中心の食事が同様の効果をもたらす場合もあるため、単純にタンパク質の摂取量だけで寿命を論じることはできません。各地域の食文化やライフスタイル全体が関与していることが、この矛盾を解消する鍵となります。
ある研究者は若い年代では炭水化物中心の食生活が適しており、高齢者はタンパク質を増やすことが適しているといいます。各年代に必要な栄養素があるのかもしれません。
もちろん長寿は食生活だけでは語れません。最後にブルーゾーン研究から長寿の人々の習慣を紹介します。
① 適度な運動を続ける。
② 腹八分で摂取カロリーを控える。
③ 植物性食品を食べる。
④ 適度に赤ワインを飲む。(日本人には合わない可能性あり)
⑤ はっきりした目的意識を持つ。
⑥ 人生をスローダウンする。
⑦ 信仰心を持つ。
⑧ 家族を最優先にする。
⑨ 人と繋がる。
(ダン・ビュイトナー『ブルーゾーン セカンドエディション』祥伝社. 2022)
前立腺肥大症(BPH: benign prostatic hyperplasia)は、中高年男性に多く見られる前立腺の良性の腫瘍のことを指します。主に前立腺の組織が非癌性の腫瘍として増大し、これによって尿道が圧迫されるため、排尿に関連するさまざまな症状が現れます[2][4][9]。
具体的な症状としては、尿勢の低下、排尿の遅延、頻尿、夜間頻尿、尿意の切迫感、残尿感、終末時滴下などがあります[2][6][7]。
前立腺肥大症は特に年齢と共にその有病率が増加します。以下は、年齢層による前立腺肥大の有病率の概要です。
50歳未満:可能性は比較的低い。
50歳代:4-5%の有病率。
60歳代:約6%。
70歳代:約12%。
80歳以上:有病率はさらに高く、人口の約50%以上が影響を受けることがある[3][5][6]。
つまり、前立腺肥大症の発症は、50歳を超えるあたりから徐々に増加し、特に60歳代以降に急激に増加する傾向があります。したがって、年齢が上がるにつれて前立腺肥大のリスクも高まることがわかります。このため、定期的な健康診断と早期の対処が重要です[2][3][6][9]。
参考文献
1. 前立腺肥大症 診療ガイドライン
2. 前立腺肥大症 (BPH)
3. 前立腺肥大症 | 症状、診断・治療方針まで
4. 前立腺肥大症の症状・診断・治療について
5. 男性下部尿路症状・前立腺肥大症 – 日経メディカル
6. 前立腺肥大症|原因|症状|治療法|排尿障害|頻尿
7. 前立腺肥大症 | 健康長寿ネット
8. 前立腺肥大症とは――症状、原因、治療の選択肢について | メディカルノート
9. 前立腺肥大症について | メディカルノート
10. 前立腺肥大症 – 基礎知識(症状・原因・治療など) | Medley(メドレー)
前立腺肥大を予防するためには、生活習慣の改善が重要です。以下に主な予防法をまとめます。
定期的な運動は、前立腺の健康を保つ上で効果的です。特に、長時間座りっぱなしにならないように心がけ、1日30分程度のウォーキングや軽いストレッチを行うことが推奨されています。これにより、血行が促進され、前立腺にかかる負担が軽減されます[3][8]。
適度な水分を摂取することも重要です。頻尿を恐れて水分を控えると、腎機能が低下したり、尿路感染や尿路結石のリスクが高まる可能性があります。日中は充分な水分を取り入れるよう心がけることが大切です[3][4]。
食事内容の見直しも前立腺肥大の予防には欠かせません。特に、高脂肪、高タンパクの食生活は男性ホルモンの活性化を促し、前立腺肥大のリスクを高めるため、バランスの良い食事が推奨されます。また、イソフラボンを含む大豆製品を取り入れることも効果的です[4][6][9]。
適度な温度のお湯に入ることによって、血行を促進し、リラックス効果も得られます。特に、40度程度のお湯にゆっくり浸かる半身浴は、体を温める良い手段です[3]。
排尿時に焦らず、リラックスした状態で行うことも重要です。急いでトイレに行くことが多いと、排尿障害を引き起こす要因となることがありますので注意が必要です[6]。
これらのライフスタイルの改善を通じて、前立腺肥大のリスクを低減することが可能です。
参考文献
1. 前立腺肥大症を予防しよう!自分でできる予防法と症状の詳細
2. 前立腺肥大症を予防する、治療するコツ
3. 前立腺肥大症の症状や治療法、予防法について解説します!
4. 前立腺肥大症の予防法や症状の特徴について解説
5. 前立腺肥大症は予防できますか?
6. 前立腺肥大を予防する4つのポイントを泌尿器科が解説!
7. 日常生活で取り入れる前立腺肥大を予防する運動を紹介!手軽
8. 前立腺肥大症とは?症状や治療方法、予防法について解説
9. 前立腺肥大は自然に治る?原因と症状、予防対策について解説
鍼灸治療は、前立腺肥大においていくつかの症状改善に効果があるとされています。具体的な効果には以下が含まれます。
鍼を用いて血行を促進し、膀胱周囲の循環を改善することで、残尿感や夜間頻尿を軽減することができます。
鍼灸は自律神経を整える作用があり、これにより排尿機能の改善が期待できます。特に軽度の前立腺肥大に対して有効とされており、治療後1〜3ヶ月で改善が見込まれることが多いです。
前立腺肥大の患者では、関連する腰部や臀部の筋肉が緊張していることが多く、これらの筋肉の緊張を緩和することで症状の改善に繋がります。
前立腺肥大の方は腰椎がねじれて前立腺を支配する神経や血流が悪くなっています。また内またがひきつるように痛む方が多いですが、そこに前立腺と深く関連しているツボがあります。
前立腺肥大の鍼灸治療ではこのように腰椎のねじれを鍼灸治療で改善させたり、前立腺と深い関連のあるツボに刺激をして前立腺の状態を改善させていきます。
以上のように鍼灸治療は前立腺肥大の症状改善に効果があり、特に血流改善、自律神経の調整、筋肉の緊張緩和を通じて、排尿機能や残尿感、夜間頻尿の軽減が期待できる治療法です。腰椎のねじれや関連するツボを鍼灸で刺激することにより、前立腺肥大の改善が期待できます。