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東洋医学と炎症 ~花粉症・アトピー性皮膚炎・喘息・関節リウマチ・カゼなど~


⬜️ 体は拡張と収縮を繰り返す

私たちの体は一年を通して拡張と収縮という変化を見せる。

簡単に言えば春になると体は開き、冬に向かうに連れて閉じる。今の時期に桜が満開になるように、私たちの頭蓋骨、胸郭、骨盤なども緩み開くのである。自然界と同じく、陰陽のリズムを見せるのだ。

しかしそれは「気」の流れが正常な体の場合である。気の流れが正常だと、内臓を含む全身が適度に温まっていて、骨格筋も柔軟でしなやかな状態にある。このような体であれば季節による開閉のリズムに体が対応し、一年を通して身体機能が正常に働いて健康的な生活ができるのである。

⬜️ 炎症を起こすことで体の柔軟性を取り戻す

ところが気の流れが悪く滞っているような場合は、自然のリズムに相応せず体調が悪くなる。このような季節による変化に対応するために体はある反応を示す。それが炎症反応である。

今の季節は花粉症で苦しんでいる方も多いだろう。花粉症はⅠ型アレルギーに分類される鼻の炎症だが、東洋医学では「肝」との関連が深い疾患である。

「肝」は食べ過ぎや飲み過ぎと関係するが、精神的ストレスとも大きく関わる。また目の酷使も「肝」の気の流れを悪くする。

「肝」に問題がある人の体を診ると、多くの場合肝臓が腫れていて、首が異常に硬くなってる。首が硬くなっているということは、「気」が上半身に集中していることを示していて、一種の「のぼせ」状態なのである。

実は花粉症というのは、鼻に炎症を起こさせて鼻水を大量に排泄することで、体の上部に滞っている「気」や飲み過ぎや食べ過ぎで溜まった「邪気」を排泄する反応なのである。

花粉症を通して肝臓の腫れや首の硬さが緩むと気が下丹田に落ち着き、緊張が緩み全身が温まる。正常な「気」の流れに近づくことで、柔軟性を取り戻すのである。

⬜️ 炎症を生じさせている真の原因に気づくことが重要

つまり花粉症は花粉が原因なのではなく、それは誘因であって真の原因は「のぼせ」ている体にあるのだ。

これは花粉症だけではなくカゼなども同様で、カゼもウイルスを利用して炎症を起こさせることで体を回復させる現象なのである。喘息やアトピー性皮膚炎、関節リウマチなどもこの例に漏れない。

炎症は体が正常に戻ろうとする反応であるから、特別な場合を除いてむやみに抗炎症薬で炎症を抑えることは危険ですらある。

アトピー性皮膚炎でステロイドを使用して皮膚の炎症を抑えたら喘息になったということが時折起こるが、これは体が他の部位で炎症を起こしてバランスを取ろうとする現象と理解することができる。

ところで漢方薬や鍼灸は臓腑を整えて邪気の排出を促したり、別の形で体外に出すことができるので、使用することはむしろ好ましい。

したがって例えば花粉症が起きている場合は、なるべく抗炎症薬を使わないで経過させ、症状が辛い場合は漢方薬や鍼灸などの気の流れを整える方法を使うと良い。

そして食べ過ぎや飲み過ぎ、特に化学調味料や添加物などの摂取を見直したり、頑張り過ぎや執着を手放したり、パソコンやスマホなどを控えて目を休めるといった「肝」に負担をかけない生活を心掛けることが大切なのである。

なぜなら炎症とは私たちの生活習慣に問題があることを体が訴えている反応だからだ。体の声に耳を傾け問題点を改善することで、体が自然の内にある陰陽のリズムを取り戻すことができるのである。