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東洋医学の診断法「脈診」〜宇宙と呼応する身体〜


 

東洋医学のテキストである『黄帝内経』では、季節による脈の変化を次のように表現している。

 

春の日には浮かぶ。これは魚の波に在りて游(およ)ぐの如く。

夏の日には膚(はだ)に在り。ひろびろとして万物に余り有り。

秋の日には膚に下る。蟄虫まさに去る。

冬に日には骨に在り。蟄虫周密にして君子は室に居る。

 

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今季節は春めいてきているが、患者さんたちの脈はすでに春の脈を打っている。

春の脈とは皮膚表面にまで脈が浮かび、『黄帝内経』ではまるで魚が波の中で活発に泳いでいるようだと表現されている。これは気温が高まるにつれて、体内の陽気が高まってきていることを示している。

血管を体表面に浮かすことで熱を放散させ、熱を体内に篭らせないようにしているのだ。
私たちの体は太陽と地球の関係によって変化しており、つまり宇宙と呼応しているのである。

もしこの季節に冬の脈、つまり脈が骨まで沈んでいるとすれば、
その人は体が冬の状態であり、体がとても冷えていることを示している。

血管を体内に沈めることにより、体熱を温存しているのだ。
このような場合、何かしらの原因で宇宙と呼応していないと診ることができる。

脈診は私たちが宇宙と呼応しながら生きているかどうかを診ることができるのである。

また脈診では五臓六腑の診断や邪気のある部位を診断する。
宇宙と呼応していない体には、さまざな気の滞りや気の不足があるからだ。

そのような状態を現す病脈には28脈ある。

鍼灸治療においては、鍼を一鍼下すたびに変化する五臓の状態や邪気の移動などを脈でリアルタイムにモニターしながら治療を進める。さらに治療前と治療後の脈の変化によって予後の見立ても行う。

このように東洋医学の脈診とは、宇宙との呼応状態や体内の気の状態を知る上で非常に重要な診断法なのである。