赤ちゃんが自分の顔をタオルに擦りつけて、痒みに耐える姿。
真っ赤になった頬――
痛々しい限りだ。
いつもそばで見ている親御さんも、さぞ辛いだろう。
しかし大人のアトピーと違って、治療がうまくいった時には、
赤ちゃん特有のツルツルした、とてもキレイな肌に戻る。
今日最終治療を行なった赤ちゃんも、初診の時は頬を真っ赤にし、
お腹や足までアトピーが広がっていたが、今日はツルツルお肌だった。
ステロイドからもうまく離脱できて、無事に当治療室を卒業だ。
乳児のアトピーの原因には、アトピー素因や環境、
食物アレルギーなどが上げられている。
また生まれ月によって、発症率が大幅に偏っていることが知られていて、
7月から12月生まれで全体の70%を占めるのだ。
これは季節性アレルギー(スギ花粉など)との関連が示唆されている。
ところで東洋医学では体の歪みとエネルギーの停滞に注目する。
アトピーの乳児を診ると、頭部や頸部、胸部などが歪み、
エネルギーが停滞していることがある。
この状態がリンパシステムを阻害し、
アトピーを発症させている一因となっているのである。
何故、赤ちゃんの体が歪んでしまったのか?
それは出産時のダメージが残ったからである。
赤ちゃんは、狭い産道を通って外界に出てくるが、
柔軟で弾力性のある体は、普通はその影響を残さない。
しかし妊娠時や出産時に問題があった場合に影響が出ることがある。
例えば悪阻が酷かった、妊娠時に強い精神的ストレスに晒された、
出産に時間がかかったなどだ。
その影響で赤ちゃんの体が弱ってしまうのである。
具体的には、体の冷えと弾力性の低下という形で現れる。
その結果、産道を通った時のダメージが頭部や頸部、胸部などに残ってしまい、
体が歪み、リンパシステムを阻害してしまう。
今日診た赤ちゃんもそれらの部位に歪みがあった。
簡単な小児整体で歪みが取れると、体に温もりと弾力性が回復し、
停滞していたエネルギーが流れ出した。
そしてツルツルお肌に戻っていったのである。
アトピー素因や食物アレルギーなどは大切な要因だ。
しかし体が冷え、弾力性が低下することによる身体の構造的な歪みや
エネルギーの停滞なども考慮にいれる必要がある。
しかし注意点はそれだけではない。
赤ちゃんは自我がまだ外界と分離していないという特徴を持つ。
つまり外界で起こることの全てが、自分のことなのだ。
したがって親兄弟や、住環境の影響を強く受ける。
外界に不協和がある時、赤ちゃんにとっては強いストレスになり得る。
それがリンパシステムを阻害し、アトピーを悪化させる要因にもなるのである。
そのような点にも注意が必要である。