稲森 英彦 Hidehiko INAMORI
プラナ松戸治療室代表
【略歴】
東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。
1998年に鍼灸師資格を取得後、心療内科に勤務。
2005年に自律神経系・心療内科系鍼灸院のプラナ松戸治療室を開設。
現在(2024年)臨床歴26年。
自律神経、内臓、骨格を整える鍼灸治療です。
ストレス性疾患、過呼吸、動悸、吐き気、めまい、頭痛、喉のつまり感、不眠、慢性的な首・肩・腰の痛み、慢性疲労、原因不明の不妊症、目の疲れ・痛みなどに。
現代医学、東洋医学、心理学の視点から総合的な健康相談をご提供いたします。
詳細はコチラプラナ松戸治療室の症例集です。めまい、息苦しさ、動悸、頻尿、聴覚過敏、不妊症、首の痛みなど。
詳細はコチラご予約、ご相談、ご質問などはこちらのフォームをご利用下さい。
日本では、睡眠は午後11時前後から午前6時前後にかけて取られるのが一般的です。このような睡眠パターンを「単相睡眠」といいます。
この単相睡眠は生物学的なものではなく、照明器具が発明された結果できた人工的な睡眠パターンです。本来動物は「多相睡眠」が自然であり、ヒトも人口照明がない環境では、2相睡眠になり夜中に一度目が覚め、その後再び眠りにつきます。
人口照明がなかった頃の日本でも、夜中に一度目を覚まして近所の人とおしゃべりをし、その後再び睡眠を取っていたそうです。
スペインの「シエスタ」は午後1時から4時の昼休みに午睡を取ります。これはヒトの持つサーカディアン・リズム(概日リズム)からしても理にかなった睡眠です。
サーカディアン・リズムとは生物の持つ生理機能の概日周期のことです。生物の生理機能も1日の中で高低しているのです。このリズムが狂うと私たちは体の不調を感じます。その典型が「時差ぼけ」です。
サーカディアン・リズムは、午前中は高く、正午頃にピークがきます。その後、午後2~3時頃にかけて低下していきます。午後4時頃から再び高まっていきますが、就寝時間に向けて再度低下します。就寝中の2~3時が最低になります。
スペインのシエスタでは、サーカディアン・リズムが低下する午後の時間に睡眠を取ります。この時間は交通事故などが多くなるともいわれ、仕事上のミスも多くなる時間帯です。ですからこの時間帯に睡眠を取ることは理にかなっているのです。
このように私たちの睡眠パターンは単相睡眠ではなく、多相睡眠の方が生物学的に適しているのです。
不眠症で悩まれている方たちは、夜に眠れないことで苦しんでいます。しかし本来の私たちの体が、多相睡眠が適しているのであれば、夜中に多くの睡眠時間を取ることに拘る必要はありません。眠れる時にこまめに睡眠を取ればいいのです。
不眠症の問題は夜中に眠れないことよりも、むしろそのことで思い悩んでストレスになっている精神面です。
ところで東洋医学では睡眠は「血(けつ)」の循環と関わります。
「血」は昼間に体中を巡り身体を栄養し温め、夜は「肝の蔵(かんのぞう)」に戻って「血」を養います。身体の「血」が「肝の蔵」に戻ると、体は鎮まり眠りにつきます。もしも「肝の蔵」に問題があると、「血」が「肝の蔵」に戻れず、その結果眠れなくなるのです。また夜に「肝の蔵」で「血」が養われないために、体は冷えていきます。
不眠症の方の体を診ると「肝の蔵」の状態を表す背中のツボが腫れあがり、全身が冷え切っています。そして「肝の蔵」を調整し、「血」が「肝の蔵」に戻れるようになると、体が温まり眠れるようになります。
「肝の蔵」は血、筋肉、目、怒りなどと関連が強い「蔵」です。ストレスを溜め込んだり、目を酷使したり、運動をし過ぎて汗をかき過ぎると「肝の蔵」に問題が出てきます。
私のこれまでの臨床経験では、不眠症の原因として仕事や家庭上での精神的ストレスが最も多く、また眠れないことがさらにストレスとなって悪循環を呈しているケースがほとんどです。
これまでみてきたように睡眠は私たちが信じてきたような単相睡眠ではなく、多相睡眠の方が理にかなっています。眠れないことでストレスを抱えないで、眠れるときにこまめに睡眠を取るという意識改革が必要です。
ご自身で「肝の蔵」を整え「血」の循環を良くするには、「半身浴」や「食事の節制」、「適度な運動」などで体を温めることを実践すると良いでしょう。
こまめに睡眠を取り、体を温めることで次第に「肝の蔵」の状態も良くなっていきます。そしていつの間にか不眠症のことも忘れていることでしょう。
私たちが抱く多くの精神的な苦しみは、私たち自身が持つ価値観や信念から生じます。
私たちの日常にはさまざまな出来事が起こります。そしてそれらの出来事に私たちは一喜一憂しています。しかしそれらの出来事自体に実は意味はありません。起こる出来事自体は無色透明なのです。
私たち自身がそれらの出来事に意味付けして一喜一憂しているのです。他人が同じ立場に立ったら、まったく異なる意味付けをする可能性があります。
出来事に意味付けするには価値観や信念が必要です。例えば仕事で失敗したとき、「私はダメな人間だ」とか「私は終わりだ」などと思ったとします。そこには「仕事がうまくいかない人はダメな人間である」「失敗したら全てが終わりだ」といった価値観や信念があります。そのような価値観や信念で無色透明な事象に苦しみの色付けをして苦しんでいるのです。
もしも仕事で失敗したとき、「このような判断をすると仕事がうまくいかなくなる」という経験が積めたと肯定的な意味付けができたなら、精神的な苦しみはほとんど起こりません。冷静に打開策を検討することができるのです。
価値観や信念は幼少期からの躾や教育による刷り込みよって心に定着しています。ですからほとんど無意識に日常で生じる出来事に意味づけをしてしまうのです。
私たちを苦しめるこのような価値観や信念を変える方法がひとつあります。それは無意識に行っている意味づけに気づくことです。無意識が意識化されたときに、この価値観や信念を変えることができます。
苦しみが起きた時にそれがどのような信念や価値観から生じているのか丁寧に調べてみましょう。大変地道な作業ですが、これを実行すると信念や価値観を変えていくことができるようになります。
今のあなたの苦しみはどのような価値観や信念から生じていますか?静かなところに一人でゆったりしながら、心の探索をしてみましょう。これを続けることで信念の牢獄から解き放たれて、軽やかな人生にシフトしていくことでしょう。
明けましておめでとうございます。
本年も皆様にとりまして、光り輝くような
幸多き年でありますように、心よりお祈り申し上げます。
新年は1月5日(土)10:00から診療致します。
本年も宜しくお願い致します。
プラナ松戸治療室
代表 稲森 英彦(鍼灸師/認定心理士)
認知鍼灸療法 プラナ松戸治療室
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