稲森 英彦 Hidehiko INAMORI
プラナ松戸治療室代表
【略歴】
東京都生まれ。慶應義塾大学文学部卒。
1998年に鍼灸師資格を取得後、心療内科に勤務。
2005年に自律神経系・心療内科系鍼灸院のプラナ松戸治療室を開設。
現在(2024年)臨床歴26年。
自律神経、内臓、骨格を整える鍼灸治療です。
ストレス性疾患、過呼吸、動悸、吐き気、めまい、頭痛、喉のつまり感、不眠、慢性的な首・肩・腰の痛み、慢性疲労、原因不明の不妊症、目の疲れ・痛みなどに。
現代医学、東洋医学、心理学の視点から総合的な健康相談をご提供いたします。
詳細はコチラプラナ松戸治療室の症例集です。めまい、息苦しさ、動悸、頻尿、聴覚過敏、不妊症、首の痛みなど。
詳細はコチラご予約、ご相談、ご質問などはこちらのフォームをご利用下さい。
子供達が夏休みで家にいて、お母さんたちは仕事が増えて大変ですね。
最近疲れたお母さんたちが、よく治療室に見えます。
完璧なお母さんを目指さないことが大切なんだと思います。
ところで、ここのところ猛暑が続いていますね。
でも患者さんの体は冷えている方がとても多いのです。
これだけ暑いとどうしてもクーラーの中に長く居がちで、
また冷たい飲み物も多く摂るようになります。
それで内臓が冷えてしまうのです。
体が冷えると熱が体表に篭ったり、のぼせたりします。
すると余計に暑く感じるのです。
食欲の低下、体のコリ・痛み、不眠などの症状にも繋がります。
こんな場合は温かい白湯を飲んだり、足湯をしてみましょう。
内臓が温まることで体が活性化し、体表に篭った熱は汗と一緒に体外へ出て行きます。
これをするだけでも、だいぶ体がスッキリしますよ。
ぜひお試し下さい。
ここのところ晴天に恵まれ、急激に暑さが増してきました。
こんな天気が良い日中に外出すると、目が疲れたり痛くなったりすることがあります。
これは紫外線の影響です。
紫外線は4月頃から強くなり、7月・8月にピークを迎えます。
このような強い紫外線は目をとても疲れさせます。
東洋医学的にみると「肝」のエネルギーを消耗させるのです。
「肝」は「血」や「神経系」と強く関連し、特に自律神経を乱すことがあります。
するとのぼせや吐き気、頭痛、目眩などが起こりやすくなるのです。
このように強い紫外線は体調を崩す原因になります。
ですから紫外線が強い日中はサングラスをして、目から入る紫外線量を調整しましょう。
暑さ対策だけでなく、紫外線対策も万全にし、
元気に夏を楽しみましょう!
先日、尿が出ないという女性が来院されました。このような症状を「尿閉」といいます。膀胱には尿が溜まっていますが尿が出ない状態です。尿自体が産生されない「無尿」とは区別します。
1週間前から徐々に尿が出なくなったとのことで、現在は体に水分が溜まってしまい浮腫みも出現していました。病院で診察を受けましたが泌尿器系には特に問題がないとのことで、漢方薬の「五苓散」を処方され様子をみることになりました。
五苓散という漢方薬は東洋医学でいう「脾の蔵」と「腎の蔵」に主に作用するお薬で、「尿が出ない」「体が浮腫む」といった症状がある場合によく処方される漢方薬です。しかし残念ながら、五苓散を飲んでも尿閉は改善されませんでした。こうしてプラナ松戸治療室に来院されたのです。
診察してみますと「脾」や「腎」にも冷えはありましたが、私が感じたのは「肺の蔵」の極度の冷えでした。
東洋医学では「脾」で体に必要な水分を作り出し全身に運搬すると考えます。そして不必要な水分は「腎」が排泄するのです。ですから「脾」や「腎」の機能が低下すると尿が出ないという症状が出てきます。
しかし水分代謝に関わる「蔵」はそれだけではなく、呼吸器系である「肺の蔵」も関わっています。「肺」にも体中の水分をスムーズに巡らせる作用があるのです。
この女性の場合は「肺」が特に冷えており、そのために水分代謝が機能せずに尿閉になったと考えました。そこで「肺」を中心に冷えを取ることにしました。また水分の通り道である「三焦」にも多少の異状が出ていたため調整しました。
3日後に来院して頂き様子を伺うと、鍼灸治療後に劇的に良くなり尿が出ているとのこと。体を診ると浮腫みも取れ、「肺」もだいぶ温まっていました。問題がなさそうなので第2診で治療は終了になりました。
問題は何故こんなにも「肺」が冷えてしまったのかということです。本人に伺っても呼吸器を冷やした覚えはないとのこと。最近は気温も高くなり外気で呼吸器を冷やすこともないはずなので、私も頭を抱えました。
しかしフッと閃きで「ジョギングなどをしませんでしたか?」と伺ったところ、最近ジョギングを始めて2~3回走ったとのこと。そういえばその後から尿が出なくなったとのことでした。これには合点がいきました。慣れないジョギングで「肺」を酷使することで「肺」のエネルギーを使ってしまい、そのせいで冷えてしまったのです。
もう一つの問題は何故「五苓散」が効かなかったのかです。私は漢方薬は専門ではないのですが、たぶん五苓散が主に「脾」と「腎」に作用する漢方薬だからでしょう。「肺」の冷えまでカバーできなかったために、尿閉が改善されなかったのだと思います。
このように「尿が出ない」という症状の背景には多様な原因が考えられます。病を改善させるには東洋医学においても、やはり適切な診断が必要なのです。