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人間関係がうまくいかない理由【パートナーシップ心理学講座⑤】


5. 「何故人生で同じ問題を繰り返すのか?」Ⅰ ―無意識の行為「ゲーム分析」―

私たちの人生で、何故か同じ間違いを繰り返してしまうことがあります。たとえば上司、あるいは部下と必ず争いが起こる、友人と仲良くなると必ず仲たがいする、異性に必ず裏切られる、あるいは裏切る、大事な仕事のときに限って必ず朝寝坊する、責任ある仕事の前には必ず体調を崩すなどです。これらは幼少期に私たちが身に付けた基本的信念と関係があります。そのメカニズムをここで紹介します。

(1)ゲーム分析

否定的なストロークを受けて育った子供は、とても繊細で傷つきやすくなります。ですから自分を守るためにある態度を身に付けます。その態度を守りながら、これ以上傷つけられないように人生を過ごしていくのです。この態度を心理学で「ゲーム」といいます。代表的なゲームを5つ紹介します。

A.自閉

自分の生き方に自信がない場合に、自分の部屋や空想に引きこもるという形で自分を守ります。人とのストロークを拒絶しています。

B.儀式

一般的な挨拶、習慣、家庭行事などを通して、人と深入りしない程度の付き合いで人生を過ごす態度です。人と最低限のストロークの交換があります。不信感の強い子供が大人の質問に対してイエス・ノーだけで返事をするのもこの態度です。

C.活動・仕事

肯定的なストロークの交換に自信がない場合に、社会的な活動を通してストロークの交換を得る態度です。子供は勉強に異常に集中してトップの成績を収めたり、大人は仕事中毒になったりします。

D.暇つぶし・雑談

感情レベルの深いストロークの交換を避けるために、当たり障りのない会話に終始します。かなり会話量は多いものの、心の深い部分には触れません。

E.心理的ゲーム

感情の深い部分にも及ぶような親密な交流を求めながら、否定的なストロークを交換します。最後に決まって不快感で終わります。

【その他のゲームの例】
・仕事で最後に必ず大きなミスをする。
・わざと人から怒られるようなことを言う(する)。・よく失業する。
・仕事の期日を必ず延期する。
・結婚の直前で破談にする。
・繰り返しトラブルや事故を繰り返す。
・よく遅刻をする。

ゲームは最後には不快感が残るのが特徴です。それはゲームの裏側に「私はダメな人間だ」という信念があり、そのことを相手に承認させることで、自分の存在価値を認めさせようとしているからです。

子供の頃に肯定的なストロークを得られなかったために、肯定的なストロークの代わりに否定的なストロークを求めるようになります。ですから最後は決まって不快感が残るのです。

子供にとって親の愛は欠かせないものです。子供は親からスキンシップや温かい言葉、眼差しなどの肯定的なストロークを得られないと感じると、親からの愛を得ようと別の戦略を立てます。それがオネショや怪我をするなどで親の注意を引くことなのです。

たとえそのことで親から叱られたとしても、子供は自分の存在を親から認めてもらったと感じます。このようにして子供は、いろいろな問題を引き起こしたり、非建設的な人間関係を築くような癖をつけていくのです。これがゲームの原型になります。

このように最後には不快感しか残らないゲームを続ける理由は、最終的には「自分は分かってもらえて幸せになれる」とい魔術的な思い込みがあります。つまりは親の愛情を得るための補償行為なのです。

(2)ゲームを止めるには

このようなゲームを止めるには、まずゲームの存在を知ることです。その上で自分自身がゲームを演じないようにコミュニケーションのあり方を身に付けます。また相手から挑発してくるゲームにも意識的になり、それに乗らないことが大切です。そのポイントを以下にまとめます。
1.Aの自我状態が重要。
2.交叉的交流を用いる。
3.ポジティブストロークを心がける。
4.ゲームに巻き込まれていると思ったら、適当なところで切り上げる。

パートナーシップ心理学講座最終章「何故人生で同じ問題を繰り返すのか?」Ⅱ ―無意識の人生脚本―につづく。