近年、世界的な若年層でがんの発生率が増加していることが明らかになっています。日本でも生涯で二人に一人ががんに罹患するといわれていますが、その大きな原因は高齢化で、50代以上になるとがんが急激に増加します。しかし最近の研究で50歳未満の若者にがんが増えています。その理由をみていきましょう。
世界的に増加している若年層のがん
1990年代以降、世界的に多くの地域で、50歳未満のがん患者数が増加していることが明らかになっています。発症率、死亡率ともに最も増加しているのは乳がんで、発症率の伸びが最も大きいのは上咽頭がんと前立腺がんです。死亡率が高い上位4種のがんは、乳がん、気管・気管支・肺のがん、胃がん、大腸がんでした(ダイアモンドオンライン)。
注目される超加工食品
発展途上国が豊かになるにつれて、欧米式の食生活やライフスタイルが取り入れられるようになります。
1990年から2019年にかけて、ブラジル、ロシア、中国、南アフリカなどの高中所得国では 15歳から39歳のがん罹患率が高所得国に比べて大幅に増加しました。
超加工食品、甘い飲み物、アルコールなどの欧米式の食生活が取り入れられることで、若年層のがんの増加につながっていると考えられています。
特に超加工食品はマイクロバーム(ヒトの体に寄生する微生物)の働きを変化させることが知られています。マイクロバームは体内でビタミンを生成し、免疫システムを調整し、食べ物の消化を助け、私たちの健康に寄与しています。
しかし超加工食品はマイクロバームを変化させて病原性を有するようになります。14種類の早期発症がんのうち、消化器に関わる8つがマイクロバームが関係してるといわれています(フォーブスジャパン)。
超加工食品とは
超加工食品(Ultra-processed foods)とは、主に工業的な加工を経て作られた食品のことを指します。これらの食品は、通常の食材に対して、多くの添加物や化学的に改変された成分が含まれており、一般的には次のような特徴があります(フォーブスジャパン)。
超加工食品とは、糖分、塩分、脂肪を多く含み、硬化油、添加糖、香味料、乳化剤、保存料などの添加物が加えられている食品です。これらの食品は、自然の状態から遠く離れた形で提供されるもので、栄養価が低い一方で、味に強い刺激を持つことが多いです。
超加工食品の特徴
添加物の使用:超加工食品には多様な添加物が使用されており、これには香料、着色料、乳化剤などが含まれます。
栄養価の低さ:通常、これらの食品は栄養成分が少ないため、健康へのリスクが懸念されます。特や糖尿病などのリスク因子となることがあります。
工場的製造:これらの食品は、工場で製造されるため、手作りの料理とは異なり、確認できない多くの成分が含まれることがあります。
超加工食品の一般的な例としては、以下のような食品が挙げられます。
- 冷凍ピザ
- ポテトチップス
- インスタントラーメン
- 菓子パン
- 清涼飲料水
以上のように若年層におけるがんの増加は、主に欧米式の食生活の普及と関連していると考えられます。特に超加工食品の消費が、消化器系を中心としたがんの発症リスクを高める要因として注目されています。
このような生活習慣の変化が、若年層の健康に深刻な影響を及ぼしているため、食生活の見直しと健康的な食事の普及が重要であると考えられます。
なお超加工食品の他にも、果物や野菜不足、高血糖、アルコール、喫煙、肥満、運動不足、環境汚染なども若者のがんの増加に影響していると考えられ注意が必要です。