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「触れる、聴く、整える」 頭蓋仙骨リズム(CRI)で深める鍼灸の観察力


頭蓋仙骨療法(CST)の世界では、私たちの体が静かに、そして確かに、1分間に6〜12回、やさしく膨らんだり縮んだりするリズムを刻んでいるとされています。

この穏やかなリズムは「頭蓋仙骨リズム(CRI)」と呼ばれています。

CRIは、脳脊髄液が生まれ、そして吸収される過程のなかで生み出される微細な動きです。このリズムは、蝶形骨・後頭骨・仙骨が連動して、脊柱の中を包む硬膜をやさしく伸び縮みさせることから生まれると理解されています。

もしこのリズムが弱くなっている箇所があれば、それは硬膜がどこかでねじれたり、滞ったりしているサインかもしれません。そうした場所は、頭痛や腰の重だるさ、内臓の働きの乱れ、あるいは感情の不安定さとして、私たちに気づきをもたらします。

CSTでは、こうしたリズムの変化を手の感覚で丁寧に捉え、やさしく触れながら緊張をゆるめ、からだの内なる流れを整えていきます。

そのために必要なのは、わずか5gという羽のように軽い圧。力を抜き、静かにそっと触れることで、からだからの繊細なメッセージが手に伝わってくるのです。

脊椎鍼灸療法講座では、このCRIを感じ取るトレーニングを大切にしています。

というのも、このリズムが弱くなっている場所は、鍼灸でいう「気の滞り」とほとんど同じ場所に現れるからです。CRIに触れる練習を重ねることで、「気」の流れを感じ取る感覚が、自然と養われていきます。

そして何より、このトレーニングを重ねることで、手の感覚が磨かれ、触診の質がやさしく、深く、変わっていきます。

脊椎鍼灸療法では、「観察にはじまり、観察に終わる」と言われるほど、観察力が治療の質を決めます。触れる手の感度を高めることは、そのまま治療の質の向上に繋がるのです。

さらに、このCRIを正確に捉えられるようになると、軽い気の滞りの場合は、鍼を使わずにスッと通してあげられることもあります。

治療の引き出しを増やし、観察の力を深める。そんなやさしい手のトレーニングとして、この感覚を育てていきます。

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脊椎鍼灸療法講座【基礎編】12ヶ月プログラム