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脳出血後遺症 舌の痺れの鍼灸治療


70代の男性で、今年1月に右脳出血を起こし、左半身が麻痺しました。4月までリハビリのため入院していましたが、退院後の4月中旬頃から舌の左側に違和感が出始め、次第にピリピリとした感覚になりました。現在では、その違和感は舌全体にビリビリと広がっています。

脳外科に相談したところ、特別な治療は難しいとのことで、口腔外科を紹介されましたが、そこでも対応ができず、当治療室に相談に来られました。

脳出血後の回復期について

脳出血後、痺れや痛みなどの神経症状が出ることがあります。特に、神経回路が再構築される時期にこのような症状が見られることがあります。

発症後6ヶ月までが神経の機能回復が最も期待できる期間とされ、この間に脳の神経組織が修復される可能性はありますが、完全な再生は難しいと考えられています。

具体的には、一度破壊された脳細胞は元に戻りませんが、神経回路の再構築や、残った神経細胞の働きが補完されることで、機能的な回復が見込めることがあります。

身体全体のバランス

この方の場合、すでに発症から半年以上が経過しているため、神経の再構築による感覚異常ではない可能性が高いです。

脳細胞は再生能力が低く、一度損傷すると元に戻るのは難しいため、脳細胞の誤作動による舌の違和感が残っている可能性があります。

残念ながら、鍼灸治療によって脳細胞自体を再生させることはできません。しかし、私たちの体は一部だけで機能しているわけではなく、全体が連動して働いています。舌も同様で、舌だけでなく体全体の機能が関与しています。

脳卒中後、体全体のバランスが崩れることがあり、このバランスを改善することで、一部の異常感覚を軽減できる可能性があります。

脊椎鍼灸療法について

舌は消化器や生殖器と深く関連しています。脊椎鍼灸療法では、臓器の異常が脊椎に反映されると考えられており、各臓器の異常が特定の脊椎レベルに現れます。

鍼灸を通じてその異常を取り除くことで、体全体のバランスが回復し、症状の改善を目指します。この方の場合、2回の治療で舌の違和感はほとんど気にならないレベルまで改善しました。

このように、脳出血後の後遺症は脳細胞のダメージによる部分は完全には改善しませんが、体全体のバランスを整えることで、その他の異常感覚が改善する可能性があります。