鍼灸治療は自律神経の乱れによる息苦しさの改善に適しています。
息苦しさの原因の8割は呼吸器と循環器にあると言われています。
呼吸器の疾患としては喘息、COPD、胸膜炎、肺炎、気道内異物などであり、循環器の疾患では狭心症、心筋梗塞、心不全、弁膜症、先天性心疾患などです。
残りの2割は貧血、甲状腺機能亢進症、筋ジストロフィー、更年期障害、過換気症候群などです。
鍼灸治療が適応するのは自律神経が乱れて息苦しさが出ているタイプです。まずは病院で呼吸器疾患、循環器疾患、血液、ホルモンなどに問題が出ていないことを確認する必要があります。
自律神経が乱れて息苦しさが出ているタイプは呼吸筋が硬張り、呼吸運動を阻害している傾向にあります。
呼吸運動は胸郭の拡大や収縮で成り立っていますが、自然な吸気で胸郭が拡大するときには主に横隔膜や肋間筋が働いています。
そのとき大切なのは骨盤の動きで、骨盤内にある骨盤底筋が緩んでいないと吸気がスムーズに入りません。
図1. 横隔膜と骨盤底筋
図2. 横隔膜と骨盤底筋の協調運動
呼気は自然な呼気であれば筋肉は用いられず、吸気に使われた筋肉の反跳で行われます。
自律神経が乱れて息苦しさを感じているタイプでは、これらの呼吸筋に硬張りがみられ、この硬張りが鍼灸治療で緩んでくると即座に息苦しさも改善されます。
これらの呼吸筋には直接鍼はできませんが、呼吸筋が緩む背中や骨盤のツボで間接的に緩めることができます。
このような自律神経の乱れによる息苦しさは、西洋薬では改善されないケースが多々あり、そのような場合には鍼灸治療を試されることをお勧めします。
息苦しさが改善されるだけでなく、体が軽くなって全体的に活力が出てくるでしょう。