カゼの後に咳が止まらない「咳喘息」
先日咳が止まらないという中学生の女の子が来院されました。病院では咳喘息と診断されお薬を処方されましたが効果がなく、プラナ松戸治療室へいらしたのです。待合室にいる間も随分と気管支の深いところから咳込んでいて嗚咽するほどです。とても苦しそうで見ている方もつらい状態です。
咳喘息とは、一般的にはカゼを引いた後に起こり、咳だけが長く残る状態です。気管支喘息のようなゼーゼー、ヒューヒューといった喘鳴や呼吸困難はなく、ただ空咳だけがあります。咳喘息のお薬は、気管支が細くなっているので気管支拡張剤と炎症を取るためにステロイド剤を処方されるのが一般的です。
「咳喘息」の背景に精神的ストレスや体力の低下
来院された女の子を診察すると、ずいぶんと体が冷えて強い緊張感がありました。咳で苦しいせいもありますが、何か他にも理由があるようです。生活状況を訊いてみると、中学に入ったばかりであり、またとても厳しい部活でがんばっているとのこと。おそらく新たな生活環境で精神的に緊張しているところに、厳しい部活で体力を使い過ぎてエネルギーを消耗し、冷えてしまったのでしょう。そのせいで呼吸器を回復させるだけの力がなくなったと見立てました。
体を診るとやはり東洋医学でいう「肝」が肝郁を起こしており、また「腎」のエネルギーもかなり弱っていました。呼吸器、つまり「肺」に症状が出ているのは「結果」であり、根本的な「原因」は「肝」「腎」と見立てました。治療は短鍼2本を使い、肝郁と腎虚を改善させるツボにそれぞれ2ミリほど刺入して置鍼。また自律神経を整える治療を加えました。
3日後に再来院。状態を伺うとだいぶマシになったとのこと。前回と同じ治療をして2回目の治療を終えました。
一週間後に再来院。状態を訊くと咳もだいぶ治まり、もう大丈夫とのこと。体も随分と温まり、体力が回復したことを確認して治療は終了しました。合計3回の治療でした。
「咳喘息」を起こす原因を東洋医学で改善させる
このように咳喘息は、精神的なストレスや体力の消耗などが背景に存在することがあります。このようなとき体は冷えていて、自律神経や免疫機能、内分泌ホルモンも乱れやすくなります。病院から処方されたお薬が効かなかったのは、このような背景があったためと考えられます。お薬は体力がないと効きにくく、また精神的なストレスに晒されているときは全く効かないこともあります。
西洋医学ではそのような点を改善させることは難しく、むしろ東洋医学の得意分野となります。西洋医学でなかなか改善されない場合は薬が効かない原因があることを疑い、東洋医学を上手に活用することが大切なのです。