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パニック障害のための丹田呼吸法


パニック障害と丹田呼吸法 〜腸とセロトニン、自律神経の深い関係〜

パニック障害の方は、体が常に緊張しています。これは、自律神経のうち「交感神経」が優位になっており、さまざまな刺激に過敏に反応してしまうためです。

そのため、ほんの少しでも不安を感じる場面——例えば電車に乗る、広場に出る、映画館に行く、レストランに入るなど——を想像するだけで、動悸、冷や汗、吐き気、過呼吸といった「予期不安」の症状が出やすくなります。

丹田呼吸法で自律神経を整える

この交感神経の過剰な働きを、自分の力で和らげる方法のひとつが「丹田呼吸法」です。

武道の世界では昔から、下丹田(臍から指4本分ほど下の位置)に意識を集め、「肚(はら)を据える」ことで精神を安定させ、極度の緊張下でも最高のパフォーマンスを発揮できる状態を作ってきました。

肚と腸、そしてセロトニン

医学的にいう「肚」とは、ちょうど腸がある部位にあたります。

近年の研究で、脳内で働く神経伝達物質セロトニンの約90%は脳ではなく腸で作られていることがわかってきました。

セロトニンは「幸せホルモン」とも呼ばれ、精神の安定や睡眠の質に深く関わります。

逆に、セロトニンが不足するとパニック障害、不安症、うつ病などのリスクが高まることから、精神科治療ではSSRIと呼ばれる薬で脳内セロトニンを増やす治療が行われています。

丹田呼吸法では、深く穏やかな呼吸によって腹部(腸)への血流が増え、腸の働きが活性化する可能性があります。

これにより腸内でのセロトニン生成が促され、結果として脳内のセロトニンバランスが整い、自律神経の安定にもつながると考えられます。

「肚を据える」と副交感神経が優位に

肚を据えた状態とは、心理的な落ち着きだけでなく、医学的には交感神経の興奮が鎮まり、副交感神経が優位になったリラックス状態を意味します。

パニック障害の方が丹田呼吸法を行うことで、過敏な神経の反応が和らぎ、予期不安の改善が期待できます。

丹田呼吸法のやり方

  1. 正座または椅子に腰掛け、背筋を伸ばす
  2. 鼻から息を吸う
    息は「下丹田」(臍から指4本分下)にイメージで吸い込む。
  3. 苦しくなる手前まで吸ったら3秒間止める
  4. 下丹田に溜めた気を、鼻から細く長く吐く
  5. 1〜4を繰り返す

注意

息を吸うときも吐くときも「気持ちが良い」と感じる程度で行うことが大切です。無理は逆効果になります。

初めは3分程度から始め、心地よくできる時間だけ行いましょう。1日に何回行っても構いませんが、必ず「心地よい範囲」で行うことがポイントです。

丹田呼吸法は、単にリラックスするだけでなく、腸の働きやセロトニン分泌の促進にも関わる可能性があります。

「肚を据える」ことは、心と身体の両面から安定をもたらす智慧です。ぜひ日常に取り入れてみてください。

脳内セロトニンを増やしパニック障害を改善する「頭皮鍼治療」はこちら。