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自律神経を鍼灸で整える5


自律神経が乱れたときの切診所見3 〜背診編〜

前回、前々回で切診の中の脈診、腹診をご紹介してきました。切診の最後は「背診」です。

背診は背中の状態を診る診断法で、自律神経の状態や重要な臓器の状態を診断する要になります。また診断点だけでなく重要な鍼灸治療点でもあり、切診の中でも比重が高い部位です。

自律神経が乱れていると背骨全体が硬くなります。また背中のどこが硬張るかによって、現れてくる症状が異なります。

東洋医学の背診

背診では縦ラインと横ラインを診ます。

1. 縦ライン
縦ラインは①背筋内側(背骨側)、②背筋の筋腹、③背筋外側の3ラインを確認します。

①は神経系の状態を診ることができます。自律神経が乱れているときはとても緊張している傾向にあります。
②は脊椎への力学的な負荷状況を診ます。
③は各臓器の状態が反映されています。次に説明する横ライン(脊椎レベル)を確認することにより、どの臓器に問題が生じているかを診ることができます。

2. 横ライン
脊椎レベルによってどの臓器に問題があるかを診ることができます。

神経は背骨に沿って各臓器に繋がっています。例えば上部胸椎レベルですと肺や心臓などを支配していますし、腰椎レベルですと腸や膀胱、生殖器などを支配しています。

臓器に問題があると、それを支配している脊椎レベルが緊張し硬結が生じ、いわゆるツボが現れてきます。

3. 東洋医学のツボ(経穴)反応
このような背中のどのレベルでどの臓器に問題があるかは、東洋医学の経穴(ツボ)概念でまとめられています。

例えば胸椎3番レベルの高さでは呼吸器の反応が出てきます。よくカゼを引いた後に咳が続くことがありますが、病院を受診してもなかなか治らないケースは珍しくありません。

そのようなときに胸椎3番レベルを診てみると硬結反応、つまりツボが現れていることがあります。その反応点に鍼灸をすると、はやければ一度の治療で咳が出なくなることがあります。このように背診は診断点でもあり、治療点でもあるのです。

自律神経が乱れている場合に症状は人それぞれで、息苦しさ、動悸、吐き気、喉のつまり感、腰痛、首肩こり、生理痛など多岐に渡ります。

そのとき背診をすると各症状で硬張っている脊椎レベルが異なります。的確に脊椎レベルを把握し、ツボに鍼灸をすることで各症状を治めていきます。

以上のように背診は自律神経が乱れた状態や各症状の診断をするのにとても大切な方法になります。

これまでみてきたように脈診、腹診、背診などの切診所見で自律神経が乱れた状態や各症状のツボ反応を的確に把握し、鍼灸をすることによって自律神経を整えて症状を改善へと導いていくのです。