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人間関係がうまくいかない理由【パートナーシップ心理学講座②】


 「私」を知る ーパートナーシップの根幹「自我」ー

自我とは、私たちが感じたり、考えたり、行動するときのもとになる心の状態のことです。私たちの自我は、いくつかのパートで複合的に構成されています。ここでは自我の3つのパートを説明します。親の自我状態”P”、大人の自我状態”A”、子供の自我状態”C”です。

親(Parent)の自我状態

私たちが子供の頃に、両親をはじめとした周りの大人たちから取り入れた「親」的な情報です。親の自我状態は”P”で表します。Pには2種類あって、父親的なPと母親的なPがあります。父親的なPをCP(Critical Parent)といい、「~すべき」、「~しなければならない」という考え方が特徴です。母親的なPをNP(Nurturing Parent)といい、同情的、養育的、保護的な考え方が特徴です。

CPの例
・ どんな理由があっても、規則は守らなければならない。
・ 男は男らしく、女は女らしくしなければならない。
・ 出世のためには、何事も我慢しなければならない。
キーワード:厳格、理想、良心的、批判的、避難的、道徳的、教育的、自律的、権威的

NPの例
・ あまり無理をしないでね、あなたはかけがえのない人なんだから。
・ わたしに任せておいてね。
・ お疲れではないですか?ちょっと休まれてはいかがですか?

キーワード:親切、面倒見が良い、寛容、思いやり、保護、養育、甘やかし、おせっかい

大人(Adult)の自我状態

ある状況に対して冷静に判断し、どうしたらよいかを導き出す考え方です。これまで経験してきたことなどを総動員して、最も適切な行動はなにか、その可能性や結果の予測をします。大人の自我状態は”A”表します。理性的な思考をするパートであり、批判的なPやわがままなCの調整役となる重要なパートです。

Aの例
・ 賛否両論を聞いてみましょう。
・ このような考え方があるが、その根拠はなんだろう。
・ お客様からクレームが来たが、今後の改善に役立てよう。

キーワード:理性的、論理的、合理的、客観的、判断的、冷静、分析的、知性的

子供(Child)の自我状態

幼い頃の考え方です。子供の自我状態には2つあります。自由な子供”FC”(Free Child)と従順な子供”AC”(Adapted Child)です。FCは本能的で感情的、直感的、積極的、活動的、創造的、のびのびとした考え方します。しかしその反面、わがままで自己中心的、抑制がきかないパートです。

ACは成長過程において親から何か要求があったときに、その愛情を失わないために身に付けてきた反応様式です。抑制的で順応的、過剰適応、消極的、依存的です。相手から嫌われないために自分の感情を抑制しますから、ストレスが溜まります。いわゆる「いい子」に多い思考様式です。

FCの例
・ わぁ、スゴイ!
・ かっこいい!!
・ 大好き!!

キーワード:感情的、直感的、積極的、朗らか、創造的、衝動的、わがまま、自己中心的

ACの例
・ どちらでもいいよ。
・ 分からないな。
・ 別に。

キーワード:過剰適応、抑制、我慢、妥協、消極的、協調、主体性の欠如、いい子、反抗

このように私たちの自我は3つのパートに分かれていて、またそれを細かくみると5つのパートに分けることができます。私たちはパートナーシップを築くときに、これらの自我状態を使い分けているのです。しかし問題はひとによって自我状態に偏りがあることです。

例えば、FCが低くてAC・CPが高いと、人間関係の中で自分を責めることが多くなります。そのためにうつ病やパニック障害などの疾患に罹りやすくなるのです。このケースでは、FCを高めることで感情を表現し、疲労やストレスに向き合えます。またNPを高めることで、自分自身をいたわることができるようになります。

高いCPは完全主義思考になりやすく、社会的な規範や価値観に縛られて身動きができなくなり、精神的に追い込まれることがあります。

冷静で現実的、かつ合理的な判断を下すAが強すぎても、自分の感情や情緒に意識が向きにくくなります。そのために心身症などに罹りやすくなるのです。

FCやACといった子どもの自我状態が強くなり過ぎても、幼児性が強まり過ぎて、他者への依存性や自己中心的な態度になることがあります。つまりそれぞれの自我状態のバランスが大切なのです。

人間関係を壊すコミュニケーションパターンにつづく。