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関節リウマチの鍼灸治療


関節リウマチの原因は「自己抗体」

関節リウマチ(RA)とは、手足の関節に痛みや変形が生じる病気です。その原因は「自己抗体」です。「抗体(免疫)」はウイルスや癌など、体にとって不要な物質を攻撃するタンパク質ですが、その抗体が自分の体の組織を攻撃してしまう現象を「自己抗体」といいます。

関節リウマチは関節内の滑膜に自己抗体ができる

関節は「関節包」と呼ばれる袋で覆われていて、その袋の内側を「滑膜」といいます。関節リウマチは、この「滑膜」に自己抗体ができます。その結果、炎症が起きて変形していていくのです。関節リウマチは自己免疫疾患であり膠原病の一種です。女性に多い疾患でもあります。

関節リウマチは朝のこわばりから

関節リウマチの症状は朝の関節のこわばりから始まります。特に手の指が多いようです。徐々に病気が進むと、幾つかの関節の腫れが生じてきて多関節炎となります。またリウマチ結節といって皮膚にグリグリした塊ができます。

血液検査をするとリウマトイド因子(RF)が陽性となります。また炎症を反映するCRPが上昇し、赤沈が亢進します。画像検査では関節破壊像がみられます。合併症としては間質性肺炎や貧血などが知られています。

関節リウマチは「冷え」の影響

関節リウマチの患者さんを診ると多くの方の体がとても冷えています。冷えの原因は様々ですが、精神的ストレスや冷たいものの過食、甘いものの常食、冷える環境、外傷などがあります。

体が温まってくると症状や検査所見が好転していくことから、関節リウマチの原因は、体の「冷え」によって起こっていると考えられます。「冷え」によって免疫の働きなどが乱れ、その影響で自己抗体が作られたのでしょう。

外傷による「冷え」から始まった関節リウマチ

当治療室に60代の女性が訪れました。腰や手指の関節に激痛が走り、日常生活もままならない状態です。低気圧が来ると症状が悪化し、喘息が出ることもあります。

問診すると30代から体調を崩しており、腰の痛みもその頃からだと言います。50代なってから関節リウマチの診断を受け、徐々に悪化していきました。症状がひどいときには、入院もされていました。

お話を伺っていくと10代の終わりころに腰に外傷を受け、それ以後の体調が思わしくないことが分かりました。10代前半はとても元気に過ごされていたとのことでしたので、10代の終わりに腰に受けた外傷が原因で体の働きに何らかの乱れが起こり、「冷え」が生じていったと診立てました。ずいぶんと長い時間が経っていたので、腰だけでなく内臓もかなり冷えていました。

鍼灸で体の冷えがとれると関節リウマチの痛みも改善

鍼灸治療で少しずつ内臓の冷えが取れてくるにしたがって関節の痛みや腫れが引いて行きました。2か月に渡り10回ほどの治療をした結果、ほとんどの痛みは取れたのです。

初めに当治療室を来院された時は、痛みで軽く手を握ることもできませんでした。しかし10回ほど治療した後は、オルガンを弾けるまでに回復しました。

このように関節リウマチは「冷え」のために体の働きが低下して発症している可能性があります。薬で症状を緩和させることは有益ですが、症状の根元にある「冷え」をとることはさらに重要だと考えます。