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鍼灸治療後の瞑眩(めんげん)反応について


鍼灸治療を受けた後に、東洋医学で「瞑眩反応」と呼ばれる現象が起こることがあります。

よくある現象は便の変化です。鍼灸治療後に臭気の強いドロッとした便が出ることがあります。白や赤などの色が付くこともあり、それまで経験したことのないものなので皆さん驚かれるようです。

これは鍼灸治療で「気」の流れが改善されることで、血液やリンパ液の流れ、神経の働きが良くなり、排泄作用が正常化されて体に溜まった老廃物を体外へ出す反応と捉えることができます。

老廃物のような人体に不要なものが完全に体外へ排泄されると、体はさらに正常な体液の流れを回復し、温まって自然治癒力を最大限に発揮する状態になります。その結果、腰痛や肩こり、湿疹、内臓の不調、イライラなどのあらゆる症状を改善に向かわせるのです。

排泄作用は便だけでなく、汗、咳、涙、尿、生理血、発疹などを通して行われることがあり、風邪症状を呈して発熱、鼻水、咳などで排泄されることもあります。また同時に鈍った神経機能が正常化することで痛みやしびれ感が出ることもあります。

瞑眩反応の期間は人それぞれですが、反応が現れた後、一週間ほどで収束する傾向にあります。ただし体の中に気の滞りが多く、神経や血液、リンパ液などの流れが悪い方は長引くこともあります。また鍼灸治療を受けるたびに何らかの排泄反応が現れてくることになります。例えばアトピー性皮膚炎の鍼灸治療では、鍼灸治療後に皮膚炎が強くなり、それが落ち着くには数週間かかります。

大切なことはこのような反応が出た場合に薬で止めないことです。体にとって不要なものが排泄されているわけですから、自然に任せておけば良いのです。瞑眩反応が止むと体は軽く爽快になり、以前よりも健康的になります。

健康的な体とは、体に害があるものにはすぐに反応し排泄することができる体です。長期間、鍼灸治療を受けている方で自然にタバコが吸えなくなったり、お酒が飲めなくなったり、過度に化学調味料の入った料理を食べると、たちまち口内に血疱(血豆)ができて食べれなくなるといった話はよくあることです。

一見、現代生活をする上で不便そうですが、それだけ私たちの生活は不自然なものに囲まれているのです。瞑眩反応を通して、私たちは本来の自然な生き方に気づくことができるようになります。

企業などのコマーシャリズムに踊らされず、自分の体を通して自分にとって合うもの合わないものが判断できるようになるのです。これが本来の自立的な姿なのかもしれません。考えて判断するのではなく、ただ感じるようになるのです。

以上のように鍼灸治療後の瞑眩反応とは、鍼灸治療で「気」の流れが正常化することによって、体液循環や神経機能が改善されることにより起こる排泄作用や知覚の正常化を指します。

瞑眩反応が収束すると体は弾力性と温かさ、すなわち生命力を回復させ、爽快感と共に活動性が高まり元気になります。この状態は西洋医学の投薬治療や手術などでは味わえない健康状態であり、身体機能を正常化させて病を癒す東洋医学ならではの状態と言えるでしょう。