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「仕事ができない自分はダメな人間」だと責める理由


仕事ができない自分はダメな人間?

自分は仕事ができない。作業が遅いし、正確でない。
だから自分はダメな人間だと責めている方がいます。

そのような思いでいるとだんだんと自分に自信がなくなり、
職場の同僚ともコミュニケーションが取れなくなっていきます。

するとさらに仕事が上手くいかなくなります。
そして朝から憂鬱になり、人生が苦しい、生きているのが辛いと感じるようになるのです。

このような悩みはカウンセリングでは一般的で、
多くの方が同じような悩みを持たれてカウンセリングを受けに来られます。

このような思いを持たれる背景には、共通した幾つかの信念が存在します。

今回は個人的な信念ではなく、日本人の多くが潜在的に持っている、
仕事に対する信念を取り上げます。

労働中心主義に染まる現代社会

仕事ができない人間はダメな人間だ、という信念は、
「労働中心主義」と呼ばれる18世紀以降に起こった思想が関係しています。

世界の価値観を大きく変えたのは産業革命です。

産業革命以前は労働は単なる日々の糧を得るための手段でしかありませんでした。
しかし産業革命以降、労働は人間や人生の価値の中心に居座るようになります。

産業革命の背景にはプロテスタンティズムがあるとされています。
労働は神に捧げる尊い行為とされたのです。

この思想が人々を労働へと駆り立て、その勢いが産業革命に繋がっていきます。
労働こそが人生の価値観の原理になったのです。

資本主義である日本社会もこの思想、そしてそこから生じる価値観の影響を受けています。
そしていつの間にか、それが私たちの信念になっているのです。

この信念に基づいて自分や他者の人生の価値を判断しています。
仕事ができない人間はダメな人間だ、仕事で成功してこそ人生に価値があるなどです。

こうして日々自分や他者を裁いています。
ですから多くの人々が仕事を人生の中心に置き、強拍観念のように仕事で成功を夢見るのです。

仕事に対する価値を捉え直す

もちろん仕事を通して自己実現を図ったり社会貢献もできますから、
仕事に精を出すことは悪いことではありません。

しかし仕事を人生の価値の中心に置くことには問題があります。

仕事は単なる生活の糧を得るための手段でもいいのです。
仕事ができようができまいが、それは人間や人生の価値とは関係がありません。

今の仕事が自分に合わないなら、合う仕事を探せばいいだけです。
そして日々の生活が成り立てば良いのです。

仕事のことで自信を失ったり、卑下する必要はありません。
仕事に対して深刻にならなくていいのです。

日本社会の多くの人が無意識のうちに労働中心主義に埋没しながら生きていますから、
そこから抜け出すことには抵抗があるかもしれません。

しかしそれを意識化することで、あなたの人生はとても豊かなものになります。
もっと幅広い視点で人生を歩むことができるようになるからです。

「仕事とは、夢を追うための時間つぶしである」と言った方がいましたが、
なかなか興味深い意見です。

このような視点で一度自分の中にある信念を見直してみては如何でしょうか。
きっともっと気楽に仕事に向うことができるでしょう。